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2007年04月26日
四 PART.4-2
約40年を経てゼロX号が駆動する!?

伊藤氏のアドバイスは説得力のあるものだった。我々は「ディスプレイ化案」を白紙に戻し、再検討せざるを得なかった。「もともと誰のための復刻なのだ?」と自問自答してみると、ゼンマイを手配する困難さを避けるために「ファンはディスプレイでも満足してくれる」と、自分たちに都合良く思い込もうとしていたのだと気付く。完全復刻すれば多少高くなってもファンは支持してくれるだろう。中途半端はダメだ! こうして“ゼロX号完全復刻!”という方針が決断された。
───《中略》───
やはり問題は「ゼンマイ」であった。いわゆる“スルメ”と呼ばれるゼンマイの動力になる金属の薄くて長い板をどうするのか? 解決策が見つからないのである。件の社長が「昔の玩具作り仲間に聞いてみよう」と、調査を請け負ってくれた。しばらく時間が経ち製作所社長から再び連絡があった。「ゼンマイを取り扱った工場に問い合わせた結果、現物通りの製品を探すのは、日本国内はもちろん、中国でも無理ということが判明した。しかし、プレス工場で一から製作することは可能である。ただし非常にコストが高くつく」ということである。恐れていた事態である。どれくらいのコストが掛るのだろうか? 製作が可能であっても高すぎるのでは実現ができない。「高くても買ってくれる」と言ってもそれは限界がある。やはり「少しでも安く提供したい」という思いは変わってはいないのである。
また、新たな問題も発覚する。プラギアを代用する予定だったが、金属製ギアでなければ耐久性がなく破損してしまうというのだ。現状ではその金属製ギアがない。これも新作とならざるを得ないのだ。はたして完全復刻は実現できるのだろうか?
年が明けた1月の中旬。林は、伊藤さんにお借りした現物のゼンマイボックスとモーターギヤボックス、そして当時の設計図面を持ってプレス工場を訪れる。ゼンマイボックスを採寸してプレス型を作ることになり、製作所側から「ゼンマイを分解したいだが…」と問われるが、「それはダメです」と即座にお断りした。分解の際、ツメが折れたら取り返しがつかない貴重品なのである。製作所は「わかりました、なんとかやってみましょう」ということで、またしばらく待機することになった。
その後、しばらくして製作所から連絡が入ったのだが「やはり分解しないと無理。“スルメ”の長さ、ギヤのピッチや配置が分からない」というのである。やむなく伊藤さんに問い合わせてみると「それは勘弁してくれ」というものだった。当然だが困った。すると伊藤さんから「他の今井科学製品で同じタイプのゼンマイを使っていると思われるキットがあるから、それを貸し出しましょう。それなら分解はOKです」となんともありがたい申し出があったのだ。
その後、製作所側から「プレス型もスルメもなんとかいけそうです」という言葉をもらったのだが、まだ懸念があるという。それは「ゼンマイを巻き、組み立てできる工場が存在するのか? 巻ける職人が居るのか?」というものだった。パーツが揃っても、組み立てができなければ意味がないのである。もちろんここで言う「組み立てができる」というのは「コストに見合うスピードで組み立てができる」ということである。しばらく考えていた社長は「うちの安本にでもやらせるか…」と言った。昔からの玩具職人さんがまだ社内に居るようだった。「ゼロX号」の完全復刻は、ベテランの玩具職人さんの腕に委ねられたのである。残す課題は「製造コストをどこまで抑えることができるか」…である。
2007年問題というものがある。2007年から団塊の世代が大挙して定年になっていくのである、技術大国日本を支えてきた技術者が物作りの現場から居なくなってしまうのだ。あと数年したら、ゼンマイの製造など出来なくなってしまう可能性が高いだろう。そんな時代の「電動ゼロX号完全復刻!」これには意味がある。 ■次号へ続く
文/加藤 智(トイズワークス)
月刊電撃ホビーマガジン4月号(メディアワークス発行)
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資料協力:伊藤秀明
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投稿者 TOYSWORKS : 2007年04月26日 16:27
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