2007年03月20日
壱 PART.1

素晴らしい完成度ながら今では手に入らないキットがある。オークションで闇雲に値段が吊り上がるキットがある。メーカーの倒産などで金型が散逸してしまったキットがある。その存在すら証明できないUMAのようなキットがある。
これは、そんなアイテムを調査・発見し、復刻のために奔走する、いい大人の夢の企画である。
不死鳥、復刻なるか? 超幻のアイテム旧・今井科学の『ゼロX号』をおえっっ!
「今井科学のサンダーバードシリーズ“ゼロX”は、その金型がブラジルに渡り、そこで行方不明となってしまった…」マニアなら、一度は耳にしたことのある逸話がここにある。まるで都市伝説だ。
昭和42年(1967)、今井科学の「サンダーバード・プラモデル」の大ヒットは、日本プラモデル史上に残る一大ムーブメントだった。工場フル稼働で日産4万個生産しても間に合わなかった、と言われるそのブームは、TVシリーズに登場するメカキャラクターを、次々と間断なくプラモデル・シリーズとして生産、リリースして行く、というスタイルのまさに先駆けであり原型であった。それら多くの名キットの中にあって、いまだに語り種になっている伝説のアイテムが存在する。1967年11月に発売された『火星探検機ゼロX号』である。同年7月公開された劇場版『サンダーバード』に登場する、ウィングスパン約300メートル! という巨鳥のような宇宙機だ。この『ゼロX号』を、今井科学はTBブームの総決算として、当時としては破格の1,200円という高額キットとしてリリースした。牛乳一本が21円、瓶ビールが120円の時代である。キット全長は430ミリにも達する大きさで、劇中の期待分離、結合アクションなどを盛り込んだ心躍る夢のようなアイテムだった。───《中略》───

プラモデル業界への参入のチャンスを狙っていたバンダイは、倒産した今井科学の生産工場とスタッフ、金型の一部を引き取り、模型業界に乗り込んだ。45年(株)バンダイ模型がスタートする。───《中略》───今井科学の遺産であるTBプラモデルは好調で、おおいに売上に貢献した。TBシリーズを始め、目ぼしい人気アイテムを選び引き取っていたことは幸運だったのだ。バンダイ模型はさらに自社でもTB新金型を製作し、そのラインナップに加え、事あるごとに仕様を変更し、復刻されて来た。
しかし! 最大の人気商品であったはずの『ゼロX号』だけは、いつまで経っても、どれだけ望まれても、とうとう再販・復刻されることは無かった。───《中略》───

歳月は流れ2006年、今年はサンダーバード日本上陸40年にあたる。奇しくもバンダイは最新の機能を備えた企画・生産拠点、ホビーセンターを模型王国、静岡に建設し、保有している様々な金型を保管、整理した。コンピュータから吐き出される金型リストは36年間分の膨大な量となり、その歴史を感じさせる。そこには保有する金型の種類、コンディションまでが書き込まれていた。───《中略》───そのリストに目を通していた筆者の目に次の文字が飛び込んだ! 『0X コンディション』…未記入!
おおおおっ! これはまさか! いやいやそんなはずはない。ゼロXの金型はブラジルへ…。そうだ、今井科学は後に当時200円のミニゼロX号も生産し、それは再生イマイによって再販されてきた。その増し型(金型のコピー)がバンダイへ渡っていたのだろう。再生イマイと新星バンダイは同じ商品を発売していたこともあったのだから不思議はないと、自分を納得させた。しかし、幾度目かのチェックの際その『0X』の金型が7型あることに気が付いた! なっ…7型? 幻のゼロXキットは金型が7つあったのだ! そう!幻のキット、ゼロXの金型は、そこに眠っていたのである!!
文/柿沼秀樹(DARTS)
月刊電撃ホビーマガジン1月号(メディアワークス発行)
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投稿者 TOYSWORKS : 2007年03月20日 15:15
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