2008年01月15日
30
第30回 マルイ(ブルマァク)『マットアロー2号(1/72)』
キットのアイデンティティは、前回のアロー1号と同じだ。特徴ある楕円型翼が個性的なアロー2号は、1号と同じでブルマァク版はゼンマイ走行、そしてミサイルが飛ぶ。マルイ版は1号同様に滑車で紐を伝って飛ぶ(移動する)が、1号のように紐にぶら下がるのではなく、機体内に紐を貫通すという仕掛けだった。1号同様フォルムも良く、厳密にどのサイズの撮影用モデルに似せるのか、という事になれば少々形をいじらなくてはならないが、当時のキットとしてはなかなかよく似ていた。
このころの円谷特撮は、よく英国ITCモノと対比されるが、それは如何せんアンフェアだ。サンダーバード等の航空機メカの演出は英国空軍ゆかりのスタッフの手によるもので、出撃シーケンスや飛行シーン自体が見せ場であったのに対し、ウルトラマン等の特撮は、やはり怪獣との格闘シーンの特撮こそがメインであって、メカの演出は主体ではない。しかしこのマットメカあたりから、1号、2号そしてジャイロの機体にはちゃんとアンチグレア塗装(無塗装のジュラルミン機体は光を弾いて眩しいのでキャノピー直前に黒い反射防止塗装をする)が施され、翼端灯も付き、着陸脚も設定され始めた。機体ナンバーや注意書きこそ省かれてはいたが、機体にはパネルライン汚しや、隊長機には黄色い識別マーキングが追加されるなど随分細かい設定にも拘り始めており、劇中では機体のメインテナンス・シーンなども挿入されていた。アロー格納が映ると手前に大きなオレンジ色の構造物が見えるが、確かあれは映画『緯度0大作戦』のアルファ―号のガントリーだ。
また操演に関しても、プーリーと呼ばれる器具を装着して、ロールをうちながら旋回するという離れ業を披露してくれるなど、派手な演出が見どころだった。
初代ウルトラマン放送当時、カラー放送はまだ始まったばかりで、ヒーローたちはなるたけ輝度の高いマーキングで主張した。科特隊のユニフォームが派手すぎて演者が戸惑ったという逸話が示すとおり、どうせカラーなのだから、という主張が優先されたのだ。極め付けが銀と赤のマーキングだ。銀に赤いストライプはまるで歌舞伎のクマどりで、ウルトラマン自身のそのマーキングをなぜ科特隊のジェットビートルも踏襲していたのが、初代ウルトラマン放映当時、小学校低学年だった筆者の一番の疑問だった。しかし以来、ウルトラマンと地球の防衛組織はカラーリングを等しくして共闘を続けている。
この2号の機体の真っ赤なストライプもデカールだったが、このデカールの張り込みは機体にアタリ線がないため、子供にはなかなか難しかった。どうしても皺が出来たり後に剝がれたりした所だけを赤く塗装して誤魔化した。
箱絵は前述のとおり梶田達二先生による。箱絵でもちゃんと翼端灯が描かれているとおり、キットにもちゃんと(微かだが)モールドがある。
前回もシルバー塗装の話をしたが、子供にとってはシルバー塗装は他の色と比べて難易度が一ケタ高かった。子供はサフェイサーなど塗らないから、よく磨いたはずの接着面やパテの跡が、シルバーを塗ることで強調されてしまうし、そもそもムラなく塗るのが難しい。エアブラシを入手してからはシルバー塗装も克服できたが、それ以前はジェットビートルを始めとするこれらウルトラメカのプラモで、随分とシルバー塗装の練習をさせてもらった。
また当時、イラストレイターになろうと思っていた筆者は、レベル1/32、P38ライトニングの箱絵の銀表現に惚れ込んで、絵具で銀表現をどうやると上手くいくのか研究した末、黒、青、茶の絵具をパレット上で取り混ぜてハイライト部分を白く残して塗るだけで銀色に見えることを発見! と、このようにプラモから学ぶことは多い(笑)。このアロー2号の箱絵の銀表現も、梶田先生独特の硬質感溢れる惚れ惚れする仕上がりだ。この色調により、遠目でもこの箱絵が梶田作品だと判別できる。パネルごとに色調も変えてあるリアリティが嬉しかった。いつか完璧なものに仕上げようと、キット自体は複数用意してはあるのだが、なかなか時間がない今日このごろだ。


投稿者 TOYSWORKS : 2008年01月15日 10:07
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