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2012年02月24日

『ふり返るなドクター〜研修医純情物語』川渕圭一(幻冬舎文庫)

 脱サラして30歳で医師を目指し37歳で研修医として大学病院に勤務する主人公が、大学病院の実態に驚き悩み葛藤する物語なのだが、著者プロフィールを読むと、まんま著者がモデルだ。
 川渕圭一氏はパチプロ、数社の会社勤務一年間の引きこもりを経て30歳で医師を目指し、37歳で京都大学医学部を卒業、研修医となる…とある。小説に描かれている大学病院の実態にも驚くが、小説の主人公そのままの著者プロフィールに驚く。
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●現役の医者が書く病院小説。弁護士が書く司法小説。銀行員が書く銀行小説。その道のプロが書く小説は、いろいろなことを教えてくれる。

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2012年02月22日

『ダークルーム』近藤史恵(角川文庫)

 以前、友人から「これは面白いから是非読むべき」と、薦められたのが自転車ロードレースをテーマにした『サクリファイス』。スポーツ小説だがミステリー。かなり面白かったので、書店で『ダークルーム』を見かけて購入。
 毎日高級フレンチレストランに一人で来店しる謎の美女「マリアージュ」。婚約破棄した女が自殺。その後新しい彼女の様子がおかしくなり…ホラー要素の強い「コワス」他、謎めく8つの短編ミステリー。日常に潜む狂気を細やかな心理描写で描く。
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●近藤史恵の作品はまだ2冊目。発表されている作品は多数あるので、楽しみはこれからだ。

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2012年02月21日

『シグナル』関口尚(幻冬舎文庫)

 オビの「映画化決定」の文字に惹かれて購入。主人公は大学の苦学生。学費を稼ぐために休学して映画館でアルバイトを始める。そこには、三年間、映画館から一歩も出ないで映写室で暮らしている若くて美しい映写技師がいた。なぜ彼女は映画館から一歩も出ないのか?
 著者は小説家になる前は、映写技師のアルバイトをしていたとのことで、フィルムを映写機にかける技術的な描写は丁寧で興味深い。映画は好きでよく観にいくが、映写室の中で行われていることには思いも至らない。これからは「黒ポチ」(フィルムは前半と後半に映写機が分かれていて、それを切り替えるシグナル)を気にしながら観てみようかと思った。
 タイトルはこの「シグナル」からきているようだが、主人公の大学生と映写技師の彼女の恋の行方は、ラストシーンで切り替わったように思う。
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●出版物だけでなく、映画の世界もデジタル化が進んでいて、近い将来フィルムはなくなり映写技師という職業もなくなるに違いない。残念な気分。

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2012年02月20日

『おさがしの本は』門井慶喜(光文社文庫)

 主人公は市営図書館に勤務。曖昧な記憶や難解なヒントを元に謎を解き、利用者の依頼で本を探し出す「レファレンス・カウンター」が仕事。しかし、利用頻度の低さで無力感を感じている。そんな中、財政難から図書館の廃止が噂されたことにより、仕事への情熱が再び湧き上がってくる。
 本探しの謎を解く「ビブリオミステリー」だが、それだけでなく、主人公が図書館の必要性、本の世界の奥深さに目覚め再生していく成長物語でもある。
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●本は「買って読む。ただし文庫限定}の私は、ほとんど図書館を利用しない。

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2012年02月16日

『猫と少女』加藤龍勇(谷中あづき堂)

 恵比寿のGALERIE MALLさんで「時の扉」展が開かれていたので仕事の合間に時間を作って訪ねた。参加されている作家さんは高田明美さん・高田美苗さん・田中亜由美さん・槻城ゆう子さん・永見由子さん・まつやまけいこさん。そして加藤龍勇さん。
 加藤龍勇さんとは30年以上のお付き合い。彼が描く猫と少女が好きだ。
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●会場で購入した豆絵本(55mm×55mm オールカラー26P)

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『武士道エイティーン』誉田哲也(文春文庫)

 誉田哲也は好きな作家なのでよく読む。『ジウ』や『ストロベリーナイツ』といった凶悪犯罪を扱った作品で認知度が高いが『武士道〜』はそれとは真逆ともいう、「ガールミーツガール」」の女子高生青春物語。『〜シックスティーン』ではじまり『〜セブンティーン』そしてようやく文庫化された『〜エイティーン』。
 宮本武蔵を心の師と仰ぐ香織と日舞から剣道に転じた早苗が、ライバルとして親友として切磋琢磨しながら、インターハイでの決戦を目指す。そしてその中で、武士道とは何かを会得していく話。ライバルたちや道場の師範代、そして部活の顧問教師のエピソードも魅力的だ。
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●主人公たちは高校を卒業してそれぞれの道に進むが、たぶん続編はあるだろうな。

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2012年02月12日

『スイッチを押すとき』山田悠介(角川文庫)

 青少年の自殺が多発する時代の日本が舞台。自殺を抑制するための国家プロジェクトが進められている。それは国が選んだ5歳の子供に心臓手術を施し施設に監禁する。そして「自殺スイッチ」を持たせ高いストレスを与え、どんな状況でそのスイッチを押すかを研究するというもの。
 主人公は7年間、そのスイッチを押さない3人の少年と1人の少女。そんな状況に耐えられなくなった監視員が4人を連れて施設から脱出、逃避行を続けるが…という話。
 小説だから特殊な舞台設定は必要だが、あまりにあり得ない設定で気持ちが入っていけない。「抑制」が目的だろうに追い込むばかりで、どう抑制するのかが全く描かれていない。作者がこの作品で何を言いたかったのか良く分からない。なのに舞台化されたり映画化されたり…「自殺スイッチ」という小道具の存在感なのか?読まなければ良かったと思う作品だった。
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●売れている作品らしいので、私の感覚が時代にそぐわなくなっているのか……否そんなことは無いはず。

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2012年02月09日

『鬼の跫音』道尾秀介(角川文庫)

 『鬼の跫音(あしおと)』は、6編の話が収録された短編集。道尾秀介のホラーミステリー小説はどれも怖い。読んでいると、胸の奥底がゾワゾワとしてくる。鬼と呼ばれる、誰の心にも潜んでいる何か。怖いなら読まなければいいのだが、読んでしまう。それはきっと、自分の心の中に棲んでいる何かが求めているのだろう。
 以前、犯罪ミステリーを得意としていた某作家が、「毎日、犯罪のことを考えてばかりいるので、自分が犯罪者になったような気持ちになる。そんな自分に耐えられない」と、自らの命を絶ってしまた。ホラー小説作家の心の中はいったいどうなっているのか?ちょっと怖くて覗けないよね。
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●このところなるべく人が死なない話を選んぶように心がけていたのが…

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2012年02月08日

『誘拐児』翔田寛(講談社文庫)

 翔田寛の作品は初めて。カバーに書かれた「第54回江戸川乱歩賞受賞作」に目が留まり手に取ってみた。タイトルが示すように誘拐ミステリー。
 昭和21年、終戦直後の混乱の中、5歳の男の子が誘拐される。身代金を渡す場所に指定されたのは、有楽町のカストリ横丁という闇市。警察は、万全の包囲網で犯人逮捕のつもりが、予想外の闇市の手入れで大混乱。犯人を取り逃がし、子供の行方も不明のまま。
 物語はそれから15年後。20歳に成長した誘拐児が主人公は、死の病の床についた母から「おまえは私の本当のこどもじゃない…」と告げられ、自分は何者なのか?と探る。
 同じころ、ある女が殺される事件が発生し警察が動き出す。一見なんのつながりもない事件だが、徐々に、その真相が解っていく。しかし、最後に近づいても犯人が明らかにならない展開で、読み急ぎたくなる。
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●昭和36年頃といえば私は小学生。小説を読みながら懐かしい風景が目に浮かんだ。

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2012年02月05日

『ビブリア古書堂の事件手帖2〜栞子さんと謎めく日常』三上延(MW文庫)

 勢いで第二巻を読む。今回のエピソードは、坂口三千代『クラクラ日記』、アントニイ・バージェス『時計じかけのオレンジ』、福田定一『名言随筆・サラリーマン』足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』が絡んだ謎と、その謎解き。読んだことのない本ばかりだが、この小説を読んでいると、それらの本を読んだ気になれるのが得した気分。
 一巻同様、栞子の洞察力は鮮やか。パートナーの大輔の推理もなかなかのもの。気になる栞子の生い立ちも徐々に語られていく。これは長いシリーズになるんだろうな。
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●ビブリアとはどんな意味かと気になったので調べてみた。「biblia」ギリシャ語のbiblionの複数形で「本」または「紙」の意。「The Biblion」で聖書となる…とのこと。なるほどね。

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2012年02月03日

『ビブリア古書堂の事件帖〜栞子さんと奇妙な客人たち』三上延(MW文庫)

 神保町の次は北鎌倉が舞台。ビブリア古書堂の店主・栞子は対人恐怖症らしくまともな接客もできないが、古書や作家に対する知識や愛情は半端ではなく、本の話になると人が変わったように雄弁になる。若くて美人。そこでアルバイトとして働く大輔は、本は好きだが子供のころのトラウマで本が読めない体質。
 古書堂に持ち込まれる古書にまつわる謎を、栞子が的確に解いていくのだが、本に詳しくない読者でも楽しく読めるところに好感がもてる。また、お互いを意識している、栞子と大輔のジリジリとした距離の縮まり方の描き方が上手い。『森崎書店〜』同様に、著者の本に対する愛を感じる。本屋大賞にノミネートはよくわかる。
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●鎌倉は好きな街なので年に何度か訪れる。その際必ず立ち寄るのが「もやい工藝」という陶器屋さん。飛びカンナが特徴的な「小鹿田焼(おんたやき)」を取り揃えてくれてあるのが嬉しい。

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